はじめに
飛行機に乗った時、必ず説明される「酸素マスク」。 緊急時に天井からブラ下がってくるアレです。
「もし飛行機に穴が開いても、これを着けていれば空港に着くまで安心だ」 と思っていませんか?
実は、あのマスクから酸素が出る時間は、「せいぜい10分〜15分程度」しかありません。 何時間も飛ぶ飛行機なのに、たった15分。 これを聞くと、「短すぎて見殺しにされるのでは!?」と恐怖を感じますよね。
しかし、安心してください。 この「15分」は、あなたの命を守るために綿密に計算された時間なのです。
パイロットの「急降下ミッション」
上空1万メートル(通常の飛行高度)では、酸素が薄すぎて人間は呼吸できません。 もし機体にトラブルが起きて気圧が下がったら、パイロットはどうするのか?
彼らの最優先ミッションは、 「人間が呼吸できる高度(約3,000メートル以下)まで、大至急で急降下すること」 です。
この「安全な高度」まで降りるのにかかる時間は、どんなにゆっくり降りても数分〜10分程度。 つまり、酸素マスクは「急降下して空気が吸える場所に行くまでの『つなぎ』」さえできればいいのです。 だから、15分もあれば十分にお釣りがくるのです。
映画のような「マスク装着飛行」はない
映画のアクションシーンで、酸素マスクを着けたまま何十分も飛び続ける描写がありますが、あれはフィクションです。 実際には、酸素発生装置(化学反応で熱くなる金属の筒)は15分で使い切って終了します。
もし15分経って酸素が止まっても、その頃にはすでに呼吸ができる高度にいるはずなので、焦って「壊れた!」とパニックになる必要はありません。
「袋が膨らまない!」は故障じゃない
もう一つ、パニックの原因になるのが「マスクの袋」です。 安全ビデオで「袋は膨らみませんが、酸素は出ています」と言われますよね。
「呼吸してるのに、袋がペチャンコのままだ! 故障だ!」 と勘違いする人が多いのですが、これは仕様です。
飛行機の酸素マスクは「コンティニュアス・フロー(流しっぱなし)」方式といって、常に少量の酸素がチョロチョロと流れてきて、自分の吐く息や周囲の空気と混ざって吸う仕組みになっています。 肺活量いっぱいに袋が膨らむわけではないので、「袋が動かなくても、落ち着いて呼吸をする」ことが大切です。
まとめ:15分あれば生き残れる
- 飛行機の酸素マスクの持続時間は「約15分」
- 短く感じるが、パイロットが安全な高度(3,000m)へ急降下するには十分な時間
- 15分後には酸素が止まるが、その時にはもうマスクなしで呼吸できるはず
- 袋は膨らまなくても故障ではない
「酸素は15分しかない」と知っていると、もしもの時に、 「ああ、今パイロットが必死で急降下してくれているんだな。あと数分の辛抱だ」 と冷静になれるはずです。 この「冷静さ」こそが、生存率を上げる一番の武器なのです。


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