はじめに
日本のクリスマスケーキの定番といえば、真っ白な生クリームに赤いイチゴが乗った「ショートケーキ」。 今夜、予約したケーキを食べるという方も多いのではないでしょうか。
ところで、この「ショート(Short)」という言葉。 一体どういう意味だと思いますか?
「作る時間が短い(Short time)から?」 「賞味期限が短いから?」 なんて思っていませんか?
「実は、ショートケーキのショートは『短い』という意味ではありません」 そこには、お菓子の歴史に関わる意外な意味が隠されているのです。
本当の意味は「サクサク」!
お菓子用語における「ショート(Short)」には、「サクサクした」「ボロボロ崩れやすい」という意味があります。 (お菓子の材料である「ショートニング」もここから来ています)。
「えっ、ショートケーキってフワフワじゃん! 全然サクサクしてないよ!」 と思いますよね。
実は、ショートケーキの発祥であるイギリスやアメリカでは、もともとスポンジケーキではなく、「ビスケット」や「スコーン」のようなサクサクした生地にクリームとイチゴを挟んだものを指していたのです。 だから「ショート(サクサクした)ケーキ」という名前がついたんですね。
日本で「フワフワ」に進化した
では、なぜ日本のショートケーキはあんなにフワフワなのでしょうか?
大正時代、不二家の創業者・藤井林右衛門氏がアメリカ視察でショートケーキに出会い、日本に持ち込みました。 しかし、当時の日本人の口には「サクサク、ボソボソした生地」よりも、「フワフワでしっとりしたカステラのような生地」の方が合うと判断。 そこで、日本人好みに「スポンジ生地」に大胆にアレンジして販売したのです。
これが大ヒットし、名前だけは「ショートケーキ」のまま、中身は日本独自の「フワフワケーキ」として定着したというわけです。
英語圏で通じない?
なので、海外(特にイギリス)で「ショートケーキをください」と頼むと、イメージとは違う「クッキーにクリームが挟まったようなお菓子」が出てくることがあります。 私たちが食べているあのケーキは、英語圏では「スポンジケーキ」や「レイヤーケーキ(層になったケーキ)」と呼ばないと通じないことが多いのです。
まとめ:名前は歴史のなごり
- ショートは「短い」ではなく「サクサクした」という意味
- もともとはビスケットのような生地だった
- 日本人の好みに合わせて、フワフワのスポンジに改良された
- 日本のショートケーキは、実は日本生まれの洋菓子
今夜、ショートケーキを食べる時に、 「この名前、本当は『サクサクケーキ』って意味なんだよ。フワフワなのにね」 と話してみてください。甘いケーキに、知的なスパイスが加わるはずです。


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