はじめに
風邪をひいて病院に行くと、処方される薬。 その中に、赤と白、あるいは青と白のように「2色に分かれたカプセル」が入っていることはありませんか?
「なんでわざわざ派手な色にするんだろう?」 「毒々しくて飲みづらいなぁ…」 「オシャレのつもり?」
なんとなくデザインだと思いがちですが、実はあの配色は、患者のためではなく「作る側の都合」で決められている部分が大きいことをご存知でしょうか?
そこには、工場でのミスを絶対に防ぐための、シンプルかつ重要な理由があったのです。
カプセルは「ボディ」と「キャップ」でできている
まず、カプセルの構造を見てみましょう。 カプセルは、薬の粉が入っている長い方の「ボディ(本体)」と、フタをする短い方の「キャップ(フタ)」の2つのパーツで構成されています。
これらは別々のラインで作られ、最後に合体するのですが、ここで「2色にする理由」が生まれます。
理由1:工場でのセットミスを防ぐため
最大の理由は、「製造ラインでの取り違え防止」です。
ボディとキャップは、直径はほぼ同じですが、「長さ」が微妙に違います。 もし両方が同じ「白」だった場合、工場のタンクに補充する際、作業員がパッと見でどっちがボディでどっちがキャップか分からなくなってしまいます。
「あ! ボディのタンクに、間違えてキャップを入れちゃった!」 なんてミスが起きると、機械が停止したり、薬がこぼれたりと大惨事になります。 それを防ぐために、「ボディは白、キャップは赤」のように色を明確に変えて、「絶対に間違えないようにしている」のです。
理由2:飲み忘れ・飲み間違い防止
もちろん、患者さんにとってもメリットがあります。 それは「識別性(見分けやすさ)」です。
高齢者の方などは、たくさんの種類の薬を飲むことがあります。 もし全部の薬が「白い錠剤」や「白いカプセル」だったらどうでしょう? 「あれ? さっき胃薬は飲んだっけ?」 「どれが風邪薬だっけ?」 と混乱してしまいます。
しかし、「赤と白のカプセル」のように特徴的な見た目なら、「あのアポロチョコみたいなやつを飲めばいいんだな」と直感的に分かります。 また、うっかり床に落としても、2色で目立つ色ならすぐに見つけられますよね。
理由3:子供の誤飲防止説も?
一説には、あえて「お菓子っぽくない色(毒々しい色)」にすることで、子供が誤ってお菓子と間違えて食べないようにしている、という考え方もあるようです(逆にカラフルで興味を持つという意見もありますが…)。
ちなみに、最近では透明なカプセルや、単色のカプセルも増えていますが、昔ながらの薬やジェネリック医薬品などでは、やはりコストや安全管理の面から「2色カプセル」が根強く使われています。
まとめ:派手な色は安全の証
- カプセルが2色なのは、工場で「本体」と「フタ」を間違えないため
- 高齢者が薬を見分けやすくするため
- 床に落としても見つけやすくするため
あのちょっと毒々しい配色は、「絶対に作り間違えない」「絶対に飲み間違えない」という、医療現場の安全対策が生んだデザインだったのです。
次に風邪薬を飲むときは、 「お前、工場で迷子にならないように派手な服を着せられたんだな…」 と、カプセルの苦労を労ってあげてください。


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