はじめに
冬の夜、ふと外に出ると。 「あれ? なんだか今日は、妙に静かだな……」 と思って空を見上げると、雪が降っていた。そんな経験はありませんか?
この**「雪の日の静寂(シーンとしている感じ)」。 単に人が出歩いていないから静かなのではなく、実は雪そのものが街の雑音を消している**という、科学的な根拠がある現象なのです。
雪はただ白いだけではなく、「高性能な防音材」の役割を果たしていたのです。
雪は「音」を吸収するスポンジ
なぜ雪が降ると静かになるのか。 その秘密は、雪の「構造」にあります。
顕微鏡で雪の結晶を見ると、複雑な形をしていて、たくさんの「隙間」がありますよね。 積もったばかりのフワフワの新雪は、実は体積の90%以上が「空気」です。
この「空気を含んだフワフワの層」に、街の車の音や話し声などの「音波」が飛び込むとどうなるか? 音は雪の隙間の中で乱反射を繰り返し、奥へ奥へと閉じ込められてしまいます。 その過程で音のエネルギーが熱エネルギーに変わり、音が消滅(吸音)してしまうのです。
音楽スタジオの壁と同じ仕組み
この仕組み、実は「音楽スタジオの防音壁」と全く同じ原理です。 スタジオの壁に貼ってあるスポンジや、グラスウールなどの吸音材も、細かい穴がたくさん空いた「多孔質(たこうしつ)」な素材ですよね。
つまり、雪が積もった街というのは、 「街全体が、高級な吸音材で埋め尽くされたレコーディングスタジオ状態」 になっているようなものなのです。
だから、普段なら遠くまで響くはずの電車の音や車の走行音が、雪に吸い取られて届かなくなり、あの独特な「シーン」という静寂が生まれるのです。
雨や氷だと「うるさく」なる
ちなみに、同じ水でも「雨」の場合は、地面を叩く音がうるさいですし、水たまりが音を反射してしまいます。
また、雪でもカチコチに凍った「固い雪(アイスバーン)」になってしまうと、今度は表面で音を「反射」してしまうため、逆に音が響きやすくなります。
「シーン」と静かなのは、フワフワの「新雪」が降っている時だけの特別な魔法なのです。
まとめ:静寂を楽しもう
- 雪の日の静けさは、気のせいではない
- 新雪は空気を多く含み、音を閉じ込める「吸音材」になる
- 原理は音楽スタジオの防音壁と同じ
もし今度、雪が降って「静かだな」と感じたら、 「ああ、今、雪が街の雑音を食べてくれているんだな」 と思いながら、その静寂に耳を澄ませてみてください。 普段は聞こえない自分の足音や、吐息の音が聞こえてくるかもしれませんよ。


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