はじめに
夜空を見上げると、いつもそこにある「月」。 地球の唯一の衛星として、変わらぬ距離で私たちを見守ってくれている……なんてロマンチックに思っていませんか?
「実は、月は地球からゆっくりと離れていっています」
その距離、「1年間に約3.8cm」。 人間の爪が伸びるスピードと同じくらい、じわじわと、しかし確実に地球から遠ざかっているのです。
なぜ逃げていくの?
月が離れていく原因は、海の「潮の満ち引き(潮汐力)」にあります。
月の重力によって、地球の海水は引っ張られ、満ち引きが起こります。 この時、海水と海底との間で「摩擦」が起き、地球の自転スピード(回る速さ)にブレーキがかかります。
物理の法則(角運動量保存の法則)により、地球の回転が遅くなると、そのエネルギーのバランスを取るために、「月が加速して、外側の軌道へ膨らむ」という現象が起きるのです。 ちょっと難しいですが、 「地球が元気をなくすと、月が遠くへ行ってしまう」 と覚えておけばOKです。
昔の月はもっと大きかった
逆に言うと、「昔の月は、今よりもずっと近くにあった」ということです。 恐竜たちが生きていた時代の月は、今よりもずっと大きく、迫力のある姿で夜空に輝いていたはずです。 そして1日の長さも、今よりずっと短かったと言われています。
「皆既日食」が見られなくなる!?
月が遠ざかることで起きる、最大の悲劇があります。 それは、「皆既日食(かいきにっしょく)」の消滅です。
皆既日食とは、月が太陽の手前を通って、太陽を「完全に隠す」現象ですよね。 これができるのは、地球から見た「月の大きさ」と「太陽の大きさ」が、奇跡的にほぼ同じだからです。
しかし、月が遠ざかって小さく見えるようになると、太陽を隠しきれなくなります。 数億年後の未来では、太陽の周りにリングが残る「金環日食」しか見られなくなり、あの美しい「ダイヤモンドリング(皆既日食)」は、二度と見ることができなくなるのです。
まとめ:今だけの奇跡
- 月は毎年3.8cmずつ地球から離れている
- 原因は潮の満ち引きによるエネルギー交換
- 大昔の月はもっと大きく見えていた
- 遠い未来、月は小さくなり「皆既日食」は起きなくなる
私たちが生きている間に月がいなくなることはありませんが、 「今見ているあの大きさの月」や「皆既日食」は、宇宙の長い歴史の中で、今この時代に生きている人類だけが目撃できる「期間限定の奇跡」なのです。 今夜月が出ていたら、逃げられる前にじっくり眺めておきましょう。


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