はじめに
忘年会や新年会、仕事の納会など、宴会の最後に行われる「手締め(てじめ)」。
司会者が「それでは、最後は一本締めでお願いします! お手を拝借、よーお!」 「パン!」
……と、一回だけ手を叩いて終わっていませんか?
「実はそれ、『一本締め』ではありません」 日本人の7割以上が間違えていると言われる、この「パン!」一発だけの締め方。 正式には全く別の名前があり、意味も違うのです。
今回は、大人のマナーとして知っておきたい、正しい「手締め」の作法と、そこに隠された感動的な「漢字の秘密」を解説します。
「パン!」一発は『一丁締め』
結論から言うと、 「よーお、パン!」(一回だけ) これは、「一丁締め(いっちょうじめ)」と呼ばれる略式の手法です。 (※関東一本締め、などと呼ばれることもありますが、正式な一本締めとは別物です)。
では、本物の「一本締め」とはどうやるのでしょうか? リズムはこうです。
「パパパン、パパパン、パパパン、パン!」
「3回・3回・3回」叩いて、最後に「1回」叩く。 この長いセットが「一本締め」なのです。 (※ちなみに、これを3回繰り返すと、一番丁寧な「三本締め」になります)。
「3・3・3・1」の美しい意味
なぜ、こんなリズムなのでしょうか? ここには、日本人ならではの「漢字の言葉遊び」が隠されています。
3回手を叩くのが3セット。 つまり、「3 + 3 + 3 = 9(く)」ですよね。 「9(く)」は、「苦労」の「苦」に通じます。
そこに、最後の「1回(点)」を加えます。 すると、どうなるでしょうか? 漢字の「九(く)」に「、」を加えると……
「丸(まる)」
という漢字になりますよね! つまり、一本締めには、 「苦労(九)もありましたが、最後は一点(一)加えて、『丸』くおさまりましたね」 という意味が込められているのです。
どちらを使うべき?
意味を知ると「一本締め(3-3-3-1)」をやりたくなりますが、居酒屋などで他のお客さんがいる場合、音がうるさすぎるため、「一丁締め(パン!)」で済ませるのがマナーとされています。
大事なのは、司会者が、 「本日は場所柄、『一丁締め』でお願いします」 と正しく宣言すること。 あるいは、「一本締めで」と言われたら、周りは「(ああ、パン!一発のやつね)」と空気を読んであげることです。
まとめ:最後は「丸」くおさめよう
- 「パン!」一回は「一丁締め」
- 「パパパン、パパパン、パパパン、パン!」が「一本締め」
- 九(苦)に点を打って「丸」になるという粋な意味
- 宴会の最後にこれを語ると、拍手喝采間違いなし
もし今年の忘年会や新年会で締めの挨拶を任されたら、 「一本締めは『丸くおさまる』という意味があります。今年一年、皆様のおかげで全て丸くおさまりました!」 とスピーチしてから締めてみてください。 きっと、その場にいる全員が笑顔になり、最高の拍手が起こるはずです。


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