はじめに
年末に一生懸命作って、お正月の三が日に食べる「おせち料理」。 味が濃くて、日持ちするものばかりですよね。
よく、おせちを食べる理由として、 「毎日大変なお母さんが、お正月の間くらい料理をしなくていいように」 という、「主婦への優しさ説」を耳にします。
なんて素敵な理由なんだ……と思いますが、 「実はこれ、本来の理由ではありません」 昔の日本人が恐れていたのは、お母さんの過労ではなく、「神様の怒り」だったのです。
理由①:火の神様を怒らせないため
お正月には、家に「年神様(としがみさま)」がやってきますが、台所にはもともと「荒神様(こうじんさま)」という火の神様がいます。
お正月に「火」を使って料理をしてしまうと、 「せっかくのお休みなのに、うるさいぞ!」 と、荒神様が怒ってしまう(または、荒神様にお休みをとっていただく)と考えられていました。
そのため、 「三が日は火を使わなくて済むように、年末のうちに作り置きしておく」 というのが、おせち料理の本来の目的なのです。
理由②:縁を切らないため
もう一つ使ってはいけないのが「包丁」です。 お正月に刃物を使うと、 「良縁を断ち切ってしまう」 として、非常に縁起が悪いとされました。
だから、お正月は食材を切らなくていいように、あらかじめ全て切って調理したものを重箱に詰めておく必要があったのです。
掃除も洗濯もNG!?
ちなみに、料理だけでなく、家事全般にも「やってはいけない」タブーがあります。
- 掃除: せっかく来てくれた年神様を、ほうきで掃き出してしまうからNG。
- 洗濯: 服(=福)を洗い流してしまうからNG。
つまり、お正月の三が日は「家事をサボっている」のではなく、「神様のためにあえて何もしない」というのが、正しい過ごし方なのです。
まとめ:堂々とゴロゴロしよう
- おせちの本当の目的は「火の神様」を休ませるため
- 包丁を使うと「縁が切れる」からNG
- 掃除や洗濯も、神様を追い出すことになるからNG
- 「主婦休み」説は、あとから出来た優しい解釈
もしお正月にゴロゴロしていて、「ちょっとは動きなさいよ」と怒られたら、 「いや、今動くと神様が出て行っちゃうから……」 と言い訳してみてください(通用するかは分かりませんが!)。


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