はじめに
夏祭りや縁日の定番、かき氷。 屋台の前に立って、「今日はイチゴにしようかな? それともメロン? レモンも捨てがたい…」と悩む時間は楽しいものですよね。
しかし、もし屋台のおじさんがこう言ったらどうしますか? 「実はそれ、全部同じ味だよ」
「嘘でしょ!?」と言いたくなりますが、 一般的な屋台で使われている安価なシロップに関しては、「実は、味の成分は全く同じ」ということがほとんどなのです。
違いは「色」と「香り」だけ
かき氷シロップの主な成分は、「果糖ぶどう糖液糖(甘味料)」、「酸味料」、そして「保存料」です。 ベースとなるこの「甘くて酸っぱい液体」は、イチゴ味だろうがメロン味だろうが、ブルーハワイだろうが全て共通です。
では、なぜあんなに味が違うように感じるのでしょうか? それは、以下の2つの魔法がかけられているからです。
- 着色料(見た目):赤、緑、黄色などの色をつける。
- 香料(匂い):イチゴの香り、メロンの香りなどをつける。
つまり、私たちは「甘い液体」に「メロンの匂い」と「緑色の見た目」が加わったものを食べて、脳内で勝手に「これはメロン味だ!」と錯覚して味わっていたのです。
脳が味を騙している「クロスモーダル現象」
これは専門用語で「クロスモーダル現象(感覚間相互作用)」と呼ばれます。 人間の味覚は意外といい加減で、舌で感じる味よりも、「目からの情報(色)」や「鼻からの情報(香り)」を優先して味を決定してしまう性質があるのです。
試しに、「鼻をつまんで、目をつぶって」かき氷を食べてみてください。 イチゴ味もメロン味もレモン味も、ただの「冷たくて甘いガリガリしたもの」にしか感じられず、味の違いを当てることは極めて難しくなります。
「ブルーハワイ」って何の味?
ちなみに、謎の多い「ブルーハワイ」。 あれは何の味かご存知ですか?
メーカーによって多少異なりますが、一般的には「サイダー味」や「ラムネ味」、あるいは「特定のフルーツ(オレンジや桃など)のミックス」の香料が使われています。 ただ、これも結局は「青い色」と「爽やかな香り」がついた甘い液体です。 「ハワイの味」がするわけではありません。
まとめ:どれを選んでも正解
- 屋台のかき氷シロップの中身(味)は、基本的に全部同じ
- 「着色料」と「香料」で脳を騙して味を感じさせている
- 鼻をつまむと、何味かわからなくなる
「全部同じ」と聞くとガッカリするかもしれませんが、逆に言えば「どれを選んでもハズレはない」ということ。 次にかき氷を食べる時は、味ではなく「今の気分の色(ラッキーカラー)」で選んでみるのも楽しいかもしれませんね。


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