はじめに
「貧血気味だから、鉄分をとらなきゃ」 そう思った時、真っ先に思い浮かぶ食材といえば何でしょうか? レバー、ほうれん草、そして「ひじき」ですよね。
昔から「ひじきは鉄分の王様」と言われ、学校給食や家庭でも貧血対策として推奨されてきました。
しかし、「実は今のひじきには、昔ほどの鉄分は含まれていない」ということをご存知でしょうか? なんと、最新のデータでは鉄分の量が「昔の9分の1」にまで激減しているのです。
2015年の衝撃「成分表の改訂」
2015年、文部科学省が公表している「日本食品標準成分表」が改訂された際、栄養士や料理研究家の間に激震が走りました。
これまで「乾燥ひじき100gあたり55.0mg」とされていた鉄分が、 なんと「6.2mg」へと、一気に9分の1以下に修正されたのです。
突然、ひじきから鉄分が消えてしまったのでしょうか? ひじきの品種が変わったのでしょうか? いいえ、違います。
原因は「鍋」の変化だった!
鉄分が激減した最大の理由。 それは、ひじきを加工(煮る)する際に使う「釜(鍋)」の材質が変わったからです。
- 昔の製法:「鉄製の釜」でひじきを煮ていた。
- 今の製法:「ステンレス製の釜」でひじきを煮ている。
そう、私たちがこれまで「ひじきの鉄分だ」と思ってありがたがって摂取していたのは、実は「釜から溶け出した鉄サビ」だったのです。 ひじきそのものが持っている鉄分は、もともとそれほど多くなかったというわけです。
近年、衛生管理がしやすく錆びにくい「ステンレス釜」が主流になった結果、鉄分が添加されなくなり、本来の(低い)数値に戻ってしまったというのが真相です。
鉄分をとりたいなら「調理器具」を見直そう
「じゃあ、ひじきを食べても意味ないの?」 そんなことはありません。ひじきには食物繊維やカルシウムが豊富に含まれており、依然として健康食品であることに変わりはありません。
ただ、「鉄分補給」を目的とするなら、ひじきに頼るよりも、 「調理する時に『鉄鍋』や『鉄フライパン』を使う」 「お味噌汁に『鉄の卵(鉄玉子)』を入れる」 といった方法の方が、昔のひじきと同じ効果(溶け出した鉄分)を得られるため、効率的かもしれません。
まとめ:王座陥落の真相
- 現在のひじきの鉄分は、昔の9分の1しかない
- 昔は「鉄釜」で煮ていたため、釜の鉄分が染み込んでいた
- 今は「ステンレス釜」なので、鉄分が増えない
- 私たちが食べていたのは、ひじきについた「釜の鉄」だった
「ひじき=鉄分」という常識は、実は「ひじき=鉄鍋の味方」だったんですね。 この事実、お母さんやおばあちゃんに教えたら、きっと驚かれるはずです。


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