はじめに
街を走る車、バイク、自転車。 その足元を支える「タイヤ」は、例外なく「黒色」をしていますよね。
「タイヤ=黒」というのは常識中の常識ですが、 「実は、昔のタイヤは真っ白だった」 「ゴムは本来、白いものである」 という事実をご存知でしょうか?
今回は、なぜタイヤが黒くなってしまったのか、その意外な歴史と理由を解説します。
ゴムの地肌は「乳白色」
タイヤの主原料である「天然ゴム」。 これはゴムの木の樹液から作られますが、この樹液は牛乳のような「真っ白(乳白色)」をしています。 つまり、何も混ぜずにそのままタイヤを作れば、当然「白いタイヤ」が出来上がるのです。
実際、自動車が普及し始めた初期の頃(100年以上前)は、白いタイヤや飴色のタイヤが主流でした。
なぜ黒くしたの?
では、なぜわざわざ黒く着色したのでしょうか? 汚れが目立つから? いいえ、違います。
最大の理由は、「強度を上げるため」です。
白いままのゴムは柔らかく、すぐにすり減ったり、熱で変形したりしてしまいます。 そこで、ゴムに「カーボンブラック(炭素の粉)」という黒い煤(すす)を混ぜ合わせてみたところ、ゴムの耐久性が劇的に向上することが発見されました。
その強度は、白いゴムの約10倍とも言われています。 重い車体を支え、高速で走り、急ブレーキに耐える……。現代の過酷な走行に耐えるためには、黒いカーボンブラックが不可欠だったのです。
あのキャラクターが白い理由
タイヤメーカーとして有名な「ミシュラン」のマスコットキャラクター、「ミシュランマン(正式名:ビバンダム)」をご存知ですか? 体がタイヤでできている、あのムキムキのキャラクターです。
「タイヤのキャラなのに、なんで白いの? 黒じゃないの?」と不思議に思ったことはありませんか?
「実は、彼が生まれた時代、タイヤはまだ白かったから」なのです。
ミシュランマンが誕生したのは1898年。当時はまだカーボンブラックを混ぜる前の「白いタイヤ」が主流でした。 もし彼が現代に生まれていたら、真っ黒なキャラクターになっていたかもしれませんね。
まとめ:黒は強さの証
- ゴムは本来「白い」ので、昔のタイヤは白かった
- 耐久性を10倍にするために「炭素(黒)」を混ぜた
- ミシュランマンが白いのは、昔の白いタイヤがモデルだから
今のタイヤが黒いのは、私たちの安全を守るために「強くなった証」なんですね。 次にミシュランマンを見かけたら、「君はタイヤが白かった時代の生き証人なんだね…」と歴史を感じてみてください。


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