はじめに
「チャン、チャ、カ、チャン…♪」 あのピアノのイントロを聞くだけで、自然と体が動き出してしまう**「ラジオ体操」**。 夏休みの早起き、運動会の準備体操、工場の始業前……日本人なら誰でも知っている、まさに国民的体操です。
これだけ日本社会に浸透しているのだから、当然「日本独自の文化」だと思っていませんか? しかし、実はラジオ体操のルーツは「アメリカ」にあることをご存知でしょうか?
しかも、健康のために医師が考えた……とかではなく、ある「保険会社」のビジネス戦略として生まれたものだったのです。
始まりは「メトロポリタン生命」
ラジオ体操の元祖は、1925年(大正14年)にアメリカの「メトロポリタン生命保険会社(MetLife)」が始めた「ラジオ・タイソウ(Setting up exercise)」です。
当時、世界最大級の保険会社だったメトロポリタン生命は、あることに気づきました。 「加入者が病気で早く死んでしまうと、死亡保険金を払わなきゃいけないから会社が損をする」 「逆に、加入者が健康で長生きしてくれれば、保険料を長く払ってくれるから会社が儲かる!」
そこで彼らは、当時の最新メディアだった「ラジオ」を使って、全米の契約者に向けて健康体操を放送し始めたのです。 つまり、ラジオ体操の最初の目的は、国民の健康増進であると同時に、「保険会社の利益を守るための戦略」でもあったのです。
日本への輸入と普及
このアメリカの取り組みに感銘を受けたのが、日本の「逓信省簡易保険局(今の「かんぽ生命」のルーツ)」の職員たちでした。 「これは素晴らしいアイデアだ!日本人の健康増進(と保険事業の安定)にも役立つはずだ!」 と、すぐに視察団を送り込みました。
そして1928年(昭和3年)、天皇即位の記念事業として、アメリカの体操を参考に日本独自のアレンジを加えた「国民保健体操(今のラジオ体操第一)」が放送開始されたのです。
実は「幻のラジオ体操第3」がある?
余談ですが、ラジオ体操には「第1」と「第2」以外に、かつて「ラジオ体操第3」が存在していたことをご存知ですか?
戦後の一時期(1946年〜1947年)だけ放送されていたのですが、「動きが複雑すぎてテンポが速く、ラジオの音声だけでは誰もついていけなかった」という悲しい理由で、わずか1年半で放送打ち切りになり、封印されてしまったのです。 (※近年、この幻の第3を復刻させる動きもあるようです)
まとめ:海を越えた健康戦略
- ラジオ体操のルーツは1925年のアメリカ
- 考案したのは「メトロポリタン生命保険会社」
- 「加入者に長生きしてもらう(保険金を払わない)」というビジネス目的もあった
毎朝何気なくやっているあの動きには、アメリカのビジネスマンたちの「長生きしてくれよ!」という熱い(?)願いが込められていたのですね。 そう考えると、腕を回すたびに、なんだか自分の寿命がチャリンチャリンと延びていくような気がしませんか?


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