はじめに
東京観光のド定番、浅草の「雷門(かみなりもん)」。 朱塗りの門の真ん中に、重さ約700kgもある巨大な「大提灯」がぶら下がっている姿は、誰でも一度は写真で見たことがあるはずです。
「さすが浅草寺、立派な伝統を守っているなぁ」 と感心してしまいますが、実はあの提灯、お寺の予算で作られたものではありません。
実は、日本を代表する家電メーカー「パナソニック(旧・松下電器)」が、60年以上にわたって寄贈し続けているものなのです。
提灯の下を見てみよう
証拠は、提灯の「底」や「枠」を見ると一目瞭然です。 そこにはハッキリと、 「松下電器」(現在はパナソニックの名も) と刻まれています。
なぜ、家電メーカーが浅草のお寺に提灯を? 「宣伝のため?」 いいえ、きっかけは、創業者である松下幸之助の「個人的な悩み」でした。
経営の神様を悩ませた「膝の痛み」
昭和35年(1960年)頃、松下幸之助は、原因不明の「膝(ひざ)の関節痛」に悩まされていました。 あらゆる名医にかかっても治らず、歩くのも辛い状態だったそうです。
そんな時、知人から、 「浅草寺の観音様はご利益があるから、一度お参りに行ってみては?」 と勧められました。
半信半疑で浅草寺を訪れ、手を合わせた幸之助。 すると驚くべきことに、その直後から膝の痛みが嘘のように消え、完治してしまったのです。
感謝のしるしに「門」ごと再建
「これは観音様のおかげだ!」 深く感動した幸之助は、お礼として何か寄贈したいと申し出ました。
当時、雷門は幕末の火災で焼失してから約100年間、「幻の門(名前だけで実物がない状態)」になっていました。 そこで幸之助は、 「私が門ごと再建しましょう」 と、莫大な私財を投じて、現在の「雷門」と「大提灯」を寄進したのです。
私たちが今見ている雷門は、実は「経営の神様の膝が治ったお礼」として復活した建物だったのです。
今でも続く10年ごとの交換
それ以来、パナソニック(松下電器)は、約10年ごとに大提灯を新品に作り直して寄贈し続けています。 (※提灯は和紙でできているため、風雨で劣化するため)
あの赤い提灯は、単なる観光シンボルではなく、 「日本企業の義理堅さ」と「感謝の心」 が詰まった、巨大なラブレターでもあるのです。
まとめ:伝統と企業の意外な関係
- 浅草・雷門の大提灯は「パナソニック」が寄贈している
- 提灯の下には「松下電器」の名前が刻まれている
- 創業者の松下幸之助が、浅草寺参拝で「膝の痛み」が治ったお礼に門ごと再建した
- 現在も10年ごとに同社によって新品に張り替えられている
次に浅草に行って雷門の下を通る時は、ぜひ真下から提灯を見上げてみてください。 そこに刻まれた社名を見つけたら、 「ああ、ここから神様の膝が治ったのか……」 と、ちょっとマニアックな歴史を感じることができるはずです。


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