はじめに
アメリカ、ニューヨークの象徴といえば「自由の女神」。 右手には松明(たいまつ)、左手には銘板を持ち、鮮やかな「青緑色(ミントグリーン)」の姿で海を見守っていますよね。
しかし、「実は、自由の女神はもともと10円玉と同じ『茶色(銅色)』だった」と言われたら、信じられますか?
今回は、女神の身に起きた劇的なビフォーアフターと、その色の正体について解説します。
昔はピカピカの「茶色」だった!
1886年にフランスからアメリカへ贈呈された当初、自由の女神は輝くような赤茶色をしていました。 なぜなら、自由の女神の表面は、大量の「銅(どう)」で作られているからです。
わかりやすく言えば、「巨大な10円玉」が立っているのと同じ状態でした。 完成当時の写真や記録を見ると、現在の姿とは全く違う、金属光沢のある女神が立っていたのです。
緑色の正体は「サビ」
では、なぜ今はあんなに綺麗な緑色をしているのでしょうか? 誰かがペンキで塗ったわけではありません。
あの色の正体は、「緑青(ろくしょう)」と呼ばれる銅のサビです。
10円玉も古くなると、黒ずんだり、青っぽいサビがついたりしますよね?あれと同じ現象です。 ニューヨークの潮風や雨にさらされ、約30年という長い年月をかけて酸化が進んだ結果、全身がサビだらけになり、あの独特な青緑色へと変貌を遂げたのです。
なぜ掃除してキレイにしないの?
「サビなら落として、元のピカピカの銅色に戻した方がいいのでは?」と思いますよね。 実は1900年代初頭、アメリカ政府も一度は「汚れてきたから塗装し直そうか?」と検討したことがありました。
しかし、調査の結果、「この緑青(サビ)の膜が、内部の銅を腐食から守るコーティングの役割を果たしている」ことが判明しました。 無理にサビを落とすと逆に女神の寿命を縮めてしまうため、「このままの色が一番美しいし、強くて良い!」という結論に至ったのです。
まとめ:サビも歴史の一部
- 自由の女神はもともと「銅の色(茶色)」だった
- 現在の色は塗装ではなく「緑青(ろくしょう)」というサビ
- サビの膜が女神を雨風から守っている
今度、テレビや写真で自由の女神を見かけたら、「あれは全身サビで守られているんだな」と思い出してみてください。歴史の重みが違って見えるはずです。


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