はじめに
ネット通販で買い物をすると、必ずと言っていいほど商品を守っている「プチプチ(気泡緩衝材)」。 ついつい指で潰したくなる、あの感触。 今や梱包には欠かせない存在ですよね。
「割れ物を守るために発明された、素晴らしいクッションだ!」 と誰もが思いますが、実は開発当初の目的は、クッションでも梱包材でもありませんでした。
発明者たちが目指していたのは、なんと「オシャレな壁紙(インテリア)」だったのです。
目指したのは「未来の壁」
1957年、アメリカのエンジニア、アルフレッド・フィールディングとマーク・シャヴァンヌの二人は、ある野望を抱いていました。
「これからの時代は、壁も平らじゃつまらない。ボコボコした立体的なプラスチックの壁紙を作れば、クールでモダンなインテリアになるはずだ!」
彼らは2枚のシャワーカーテンを貼り合わせ、間に空気を閉じ込めて、ボコボコしたシートを試作しました。 これが「プチプチ」の原型です。
誰も買わなかった
彼らは自信満々で、この「3Dプラスチック壁紙」を市場に売り出しました。 しかし、反応は散々なものでした。
「なんか安っぽい」 「ボコボコしてて掃除が大変そう」 「部屋が落ち着かない」
インテリアとしては致命的に人気が出ず、全く売れませんでした。 彼らの「オシャレな壁紙計画」は、完全に失敗に終わったのです。
次の狙いは「ビニールハウス」
「壁紙がダメなら、断熱材はどうだ?」 次に彼らは、空気の層が熱を遮断することに注目し、「温室(ビニールハウス)の断熱シート」として売り込みました。
しかし、これもイマイチ効果が薄く、ヒットしませんでした。 「せっかく作ったのに、使い道がない……」 彼らは途方に暮れました。
救世主は「IBM」
そんな時、運命の出会いが訪れます。 当時、コンピュータ大手のIBMが、新型コンピュータ(1401シリーズ)の輸送方法に悩んでいました。 精密機械を運ぶ際、新聞紙や木くずでは衝撃を吸収しきれなかったのです。
IBMの担当者が、彼らの「売れない壁紙」を見て閃きました。 「この空気の粒、クッションに最高じゃないか?」
こうして、プチプチは「梱包材」として採用され、IBMのコンピュータと共に世界中に広まり、大成功を収めたのです。
まとめ:失敗から生まれた必需品
- プチプチは、もともと「立体的な壁紙」として発明された
- インテリアとしては「ダサい」「掃除しにくい」と大失敗した
- その後「温室の断熱材」としても失敗した
- IBMが「梱包材」として採用し、世界的なヒット商品になった
もし、当初の計画通り「壁紙」として流行っていたら、今頃私たちの家の壁は、寄りかかると「パチッ」と音が鳴る、落ち着かない部屋になっていたかもしれません。 荷物を開けてプチプチを見つけたら、 「君は、本当はオシャレな壁紙になりたかったんだね……」 と、その数奇な運命を想って潰してあげてください。


コメント