はじめに
家具の配置やカーテンのサイズを測る時に使う「メジャー(巻き尺)」。 先端の、何かに引っ掛けるための「金属の爪(フック)」を見てみてください。
指で触ると、カチャカチャと動いてグラグラしませんか? 「壊れてる?」「不良品?」 と思って、ペンチで締め直したり、接着剤で固定したりしようとした人はいませんか?
「絶対に固定してはいけません!」 あのグラつきは、正確に測るために「わざと」作られた機能なのです。
理由は「爪の厚み」を消すため
メジャーの測り方には、大きく分けて2通りの方法があります。
- 引っ掛けて測る(引き): 板の端などに爪を引っ掛けて引っ張る。
- 押し当てて測る(押し): 壁の内寸などを測る時に、爪を壁に押し当てる。
この時、もし爪が固定されていたら、「爪の金具の厚み(約1ミリ)」の分だけ、どうしても誤差が出てしまいます。
「カチャ」っと動いて誤差ゼロ
そこで、あのグラグラが活躍します。
- 引っ張った時: 爪が少し「外側」に動きます。これにより、爪の内側が「0(ゼロ)地点」になります。
- 押し当てた時: 爪が少し「内側」に動きます。これにより、爪の厚みがキャンセルされ、爪の外側が「0(ゼロ)地点」になります。
つまり、あの爪が動く距離は、適当にグラグラしているのではなく、 「爪の金属の厚さと全く同じ距離」 だけ動くように精密に設計されているのです。 これを専門用語で「0点補正移動爪」と呼びます。
穴が開いている理由も
ちなみに、爪の真ん中に「小さな穴」が開いているメジャーもありますよね。 あれは、一人で長い距離を測る時に、「釘や画鋲の頭に引っ掛けて固定するため」の穴です。
誰かに「こっち持ってて!」と頼まなくても、あの穴を釘に刺せば、一人で正確に測れるようになっているのです。
まとめ:動くのが正解
- メジャーの爪はわざとグラグラしている
- 引っ掛ける時と、押し当てる時の「誤差」をなくすため
- 爪の厚みの分だけスライドする仕組み
- 固定してしまうと、常に1ミリ程度のズレが生じる
もし、ガタついているメジャーを見て「これ壊れてるよ」と言う人がいたら、 「実はこれ、0点補正機能といってね……」 と教えてあげてください。 あの小さなカチャカチャには、職人のこだわりが詰まっているのです。


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