はじめに
オレンジやグレープ味でおなじみの炭酸飲料「ファンタ(Fanta)」。 子供から大人まで愛される、ポップで楽しい飲み物ですよね。
しかし、その誕生の歴史を辿ると、決して明るい場所には行き着きません。 ファンタが生まれたのは、第二次世界大戦中の「ナチス・ドイツ」。 しかも、開発された理由は、 「戦争のせいで、大好きなコカ・コーラが作れなくなったから」 という、切実な事情からだったのです。
ドイツ人はコーラが大好きだった
戦争が始まる前、ドイツでも「コカ・コーラ」は大人気でした。 ドイツ国内の工場で大量に生産され、国民的飲料として親しまれていました。
しかし、1939年に第二次世界大戦が勃発。 アメリカとドイツが敵対関係になると、アメリカからの「コカ・コーラの原液(シロップ)」の輸入が完全にストップしてしまいました。
「原液がないとコーラが作れない!」 「でも、工場を止めるわけにはいかないし、国民は炭酸飲料を欲しがっている……」
ドイツ・コカ・コーラのトップだったマックス・キースは追い詰められました。
残り物で新しいドリンクを作れ!
そこで彼は決断しました。 「国内で手に入る『残り物』の材料だけで、コーラに代わる新しい炭酸飲料を作るぞ!」
当時、戦時下のドイツで手に入ったのは、
- チーズを作る時に出る「乳清(ホエイ)」
- シードル(リンゴ酒)を作る時に出る「リンゴの繊維(搾りカス)」
- その他、余った果物の繊維など
これらをかき集めて混ぜ合わせ、甘味料(サッカリンなど)を加えたものが、初代「ファンタ」でした。 今のフルーティーな味とは違い、少し独特な味だったと言われています。
名前の由来は「想像力(ファンタジー)」
この苦し紛れの新商品に名前をつける時、キースは部下たちにこう言いました。 「想像力(Fantasie / ファンタジー)を働かせるんだ!」
すると、あるセールスマンが即座に叫びました。 「ファンタ!!(Fanta)」
こうして、その名が採用されました。 「想像力」が生んだ奇跡のドリンク、それがファンタなのです。
戦後、世界へ
ファンタは、甘いものが不足していた戦時中のドイツで、 「飲み物としてだけでなく、料理の甘み付け(スープの味付けなど)」 としても使われ、大ヒットしました。
戦争が終わり、ドイツ・コカ・コーラがアメリカ本社に復帰すると、ファンタの製造も一度は中止されかけました。 しかし、その人気に目をつけた本社が、 「これ、オレンジ味とかにして世界で売れば人気出るんじゃない?」 と改良し、1955年にイタリアで「ファンタ・オレンジ」として再デビュー。 これが現在私たちが飲んでいるファンタの直接のルーツとなりました。
まとめ:敵国が生んだヒット商品
- ファンタは、第二次世界大戦中のナチス・ドイツで生まれた
- アメリカからコカ・コーラの原液が届かなくなったための「代用品」だった
- 初期の材料は「チーズのホエイ」や「リンゴの搾りカス」
- 名前の由来はドイツ語の「Fantasie(想像力)」
別の記事で「Wi-Fiはナチスを倒すための技術」と紹介しましたが、逆に「ファンタはナチス統治下で生き残るための知恵」だったのです。 今度ファンタを飲む時は、 「これは平和な時代の味がするな」 と、歴史の重みとシュワシュワ感を同時に味わってみてください。


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