はじめに
冬の街角でよく見かける、ベージュ色でベルトがついた「トレンチコート」。 ビジネスマンのスーツ姿にも合いますし、女性が着てもクールで素敵ですよね。
「大人っぽくてオシャレなデザインだな〜」 と思って着ている方が多いですが、実はトレンチコートは、ファッションのために作られたものではありません。
その正体は、「第一次世界大戦」の泥沼の戦場で、兵士たちが生き残るために開発された「ガチガチの戦闘用軍服」なのです。
コートについている「意味不明なベルト」や「金具」。 あれらは飾りではなく、「手榴弾(しゅりゅうだん)」や「小銃」を扱うための装備だったことをご存知でしょうか?
名前の由来は「トレンチ=塹壕」
まず、名前そのものが答えを言っています。 「トレンチ(Trench)」とは、英語で「塹壕(ざんごう)」、つまり戦場で敵の弾から身を守るために掘った「穴(溝)」のことです。
第一次世界大戦は、お互いに穴を掘って睨み合う「塹壕戦」がメインでした。 雨が降り、泥だらけの寒くて劣悪な穴の中で、防水性が高く、暖かくて動きやすいコートが必要になり開発されたのが「トレンチコート」なのです。
1. 腰の金具(Dリング)=「手榴弾」用
トレンチコートの腰ベルトには、アルファベットの「D」の形をした金具(Dリング)がいくつかついていますよね。 「これ、何に使うの? 鍵でもぶら下げるの?」
実はこれ、「手榴弾(手投げ弾)」や「水筒」「ナイフ」をぶら下げるためのフックです。 戦場で、いつでもすぐに爆弾を投げられるように、腰回りにジャラジャラとぶら下げていた名残なのです。
2. 肩のベルト(エポレット)=「救助・装備」用
肩についている、ボタンで留めるベルト(エポレット)。 これは、階級章をつける場所でもありますが、本来の役割はもっと実用的です。
- 仲間の救助: 倒れた仲間を引きずって助ける時に、ここを掴んで引っ張る。
- 装備の固定: 水筒や双眼鏡のストラップが、肩からずり落ちないように固定する。
- 銃の固定: 重いライフル銃を肩に担ぐ時のクッション。
3. 胸の布(ガンフラップ)=「衝撃吸収」
右胸(または左胸)に、一枚だけ余分な布が当てられていますよね。 これを「ガンフラップ(銃のあて布)」と呼びます。
ライフル銃を発砲した時、反動で肩や胸にものすごい衝撃が来ます。 その衝撃を和らげるためのクッションであり、また、構えた銃口から雨水が服の中に入らないようにする「フタ」の役割もありました。
まとめ:あなたは「軍服」を着ている
- トレンチコートは第一次世界大戦の「塹壕用コート」
- 腰のDリングは「手榴弾」を下げるため
- 肩のエポレットは「仲間を救助」するため
- 胸の布は「ライフル発砲」のため
今では平和な街のファッションアイテムになっていますが、その一つ一つのパーツには、「泥と血にまみれた戦場の記憶」が刻まれているのです。
次にトレンチコートを着て鏡を見る時は、 「よし、今日も戦場(会社)に行ってくるか……手榴弾よし、ライフルよし!」 と、兵士の気分で気合を入れてみてはいかがでしょうか?


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