はじめに
世界中のアスリートが人生をかけて目指す夢、オリンピックの「金メダル」。 表彰台で輝くあのメダルは、さぞかし高価な純金でできているのだろう……と思っていませんか?
もしあれが全部「純金」だったら、質屋に持っていけばとんでもない金額になるはずです。 しかし、「実は、金メダルの中身は99%以上が『銀』である」という事実をご存知でしょうか?
今回は、知ると少し夢が壊れるかもしれない(?)、メダルの成分と価値について解説します。
「金メダル」の正体は「金メッキした銀メダル」
見た目は黄金に輝いていますが、実はあれ、「純銀製のメダル」の表面に、薄く「金メッキ」を塗っただけのものなのです。
国際オリンピック委員会(IOC)の規定には、明確にこう書かれています。 「金メダルは、銀製(純度92.5%以上)のものでなければならない。そして、最低6グラムの純金で金張り(メッキ)すること」
つまり、重さが500g以上あるメダルのうち、「金」の部分はわずか6g程度。残りの数百グラムはすべて「銀」なのです。 名称こそ「金メダル」ですが、実態は「最高級・銀メダル(金ラッピング仕様)」と言った方が正確かもしれません。
なぜ純金にしないの?
理由はシンプルで、「お金がかかりすぎるから」です。
もし、あの大きさのメダルを全て純金(24金)で作ったとしたら、現在の金相場で計算すると、1個あたり数百万円〜1,000万円近くの原価がかかってしまいます。 1回の大会で数百個〜千個単位の金メダルが授与されるため、それを全て純金で作ると開催国の財政が破綻しかねません。
ちなみに、過去には「純金製の金メダル」が存在したこともあります。 それは1912年のストックホルム大会まで。それ以降は、予算の都合で現在の「銀に金メッキ」スタイルが定着しました。
銀メダルと銅メダルはどうなの?
- 銀メダル:これは名前の通り、「純銀(純度100%に近い銀)」で作られています。
- 銅メダル:これは銅と亜鉛の合金(いわゆる真鍮や青銅)で作られており、原価で言うと数百円程度と言われています(10円玉の親戚のようなものです)。
まとめ:価値は金属の値段じゃない
- 金メダルの中身は、ほとんど「銀」
- 表面に6g以上の金をメッキするというルールがある
- もし純金で作ったら高すぎて開催できない
とはいえ、メダルの価値は金属としての原価(数万円程度)で決まるものではありません。 アスリートが流した汗と涙、そして世界一になったという「栄光」こそが、プライスレスな価値を生み出しているのですね。


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