お風呂で指がシワシワになる本当の理由…実は、脳が発動させる「水中最強モード」だった

お風呂やプールに長く入っていると、指先がふやけてシワシワになりますよね。

あれを見て、「皮膚が水分を吸って、スポンジみたいに膨らんだんだな」と思っていませんか?

実はそれ、大きな間違いです。

もし水分を吸っただけなら、全身がパンパンになるはずです。なぜ指先だけなのでしょうか?

実はあの現象、水没したことを察知した脳が、意図的に変身指令を出して「タイヤの溝(トレッドパターン)」を作り出しているのです。

今回は、あなたの指先に隠された驚くべきテクノロジーについて解説します。

目次

衝撃の事実:「神経が切れる」とシワにならない

「水ぶくれのような物理現象ではない」と言い切れる決定的な証拠があります。

それは、「神経に麻痺がある人」や「切断された指」は、どれだけお湯につけてもシワシワにならないという事実です。

1930年代から知られている医学的な事実ですが、指の神経(正中神経など)が損傷している患者の手をお湯につける実験をしたところ、なんとシワが一本もできませんでした。

つまり、あのシワは勝手に起きているのではなく、脳が「水だ!変形しろ!」と自律神経に指令を出し、血管を収縮させて意図的に凹凸を作っているのです。

死体やお風呂で寝てしまった人(重度の意識障害)の指も、シワシワにはなりません。あれは「生きている証」であり、脳がフル稼働している証拠なのです。

天然のスタッドレスタイヤ機能

では、なぜ脳はわざわざエネルギーを使ってまで、指をシワシワにするのでしょうか?

その答えを解明したのが、2013年のイギリス・ニューカッスル大学の研究チームです。

彼らは、被験者に「乾いたビー玉」と「水に濡れたビー玉」を掴ませて、移動させる時間を計測しました。

【実験結果】 シワシワの指は、乾いた指に比べて、濡れた物体を掴んで動かす時間が約12%も速くなった。

つるつるのタイヤで雨の高速道路を走ると滑ってしまいますが、溝(トレッド)があると水が排出されてグリップ力が上がりますよね?(ハイドロプレーニング現象の防止)。

人間の指も全く同じです。 あのシワは、指と物体の間にある「水膜」を効率よく排出するための「排水用ドレイン(溝)」だったのです。

まとめ:人類の進化が生んだ「水中モード」

あのシワは、かつて人類が自然界で生きていた頃、雨の日や川の中で「ヌルヌル滑る魚や貝」を確実に捕まえるために、進化の過程で手に入れた機能だと言われています。

お風呂で指がシワシワになったら、それはふやけて弱くなっているではありません。

脳が「水中モード起動!グリップ力強化!」と叫び、あなたの体を戦闘形態へ変身させているのです。

そう考えると、あのシワシワの手が、なんだか頼もしい最新ギアに見えてきませんか?

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