はじめに
一万円札や千円札のこと、私たちは「紙幣(しへい)」と呼びますよね。 メモ帳や新聞紙と同じように、木から作られた「紙」だと思っていませんか?
でも、不思議に思ったことはないでしょうか。 「うっかりポケットにお札を入れたまま洗濯しちゃった!」 という時、レシートは粉々になって消えているのに、お札だけはシワシワになりながらも、形を留めて生き残っていた……なんて経験。
「実は、日本のお札は『紙(木材パルプ)』ではありません」 耐久性を高めるために、特殊な植物を使った「布」に近い素材で作られているのです。
素材は「ミツマタ」と「アバカ」
日本の紙幣の主な原料は、以下の2つです。
- ミツマタ(三椏): 和紙の原料になる植物。
- アバカ(マニラ麻): 船舶のロープや、ティーバッグにも使われる非常に丈夫な繊維。
これらは、一般的なコピー用紙などの原料である「木材パルプ」とは全くの別物。 どちらかというと、「繊維(ファイバー)」の塊です。 繊維が長く、複雑に絡み合っているため、水に濡れても簡単にはほぐれず、引っ張っても破れにくいのです。
海外では「綿(コットン)」も
ちなみに、世界一流通しているアメリカの「ドル紙幣」。 あれは、「綿(コットン)75% + 麻(リネン)25%」で作られています。 つまり、素材だけで言えば、紙というよりも「ジーンズ(デニム)」や「シャツ」に近いのです。 だから、アメリカ映画でクシャクシャのお札を雑に扱うシーンがあっても、破れないんですね。
寿命は意外と短い
そんな頑丈に作られているお札ですが、寿命は意外と短いです。
- 一万円札: 約4〜5年
- 千円札・五千円札: 約1〜2年
人の手から手へ渡るうちに、手垢がついたり、折り目がついたりして劣化するため、日銀が回収して細断(さいだん)しています。 千円札が特に短いのは、釣り銭などで使われる回数が多く、酷使されるからだと言われています。
まとめ:濡れても諦めないで
- お札は木材パルプ(紙)ではなく、植物の繊維で作られている
- 原料は「ミツマタ」と「アバカ(マニラ麻)」
- 水に強いので、洗濯しても簡単には溶けない
- ドル紙幣は「綿」でできている
もし洗濯機から脱水されたお札が出てきても、絶望する必要はありません。 丁寧に広げて乾かせば、彼らは復活します。 「紙幣」と呼びつつも、その正体は日本の技術が詰まった「ハイテク繊維シート」だったのです。


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