はじめに
寒い冬、フーフーしながら食べる「おしるこ」と「ぜんざい」。 どちらも小豆(あずき)とお餅を使った甘味ですが、違いを聞かれると困ってしまいませんか?
「こしあんが『おしるこ』で、粒あんが『ぜんざい』でしょ?」 と思っているあなた。それは関西の常識です。
「いやいや、汁気があるのが『おしるこ』で、汁気がない餅メインのが『ぜんざい』でしょ?」 と思っているあなた。それは関東の常識です。
「実は、地域によって名前のルールが全然違うのです」 今回は、甘味処で恥をかかないための完全マニュアルを伝授します。
【関東】のルール:汁があるかないか
関東地方では、中身が粒あんかこしあんかは関係ありません。 「汁気(水分)」で区別します。
- おしるこ: 汁気があるもの(スープ状)。粒あんでもこしあんでも「おしるこ」。
- ぜんざい: 汁気がないもの(餅にあんこを乗せたもの)。
つまり、関東の人にとって「ぜんざい」とは、ドロッとした濃厚なあんこ餅をイメージする言葉なのです。
【関西】のルール:粒か、こしか
一方、関西地方(特に大阪など)では、「あんこの種類」で厳密に区別します。どちらも汁気はあります。
- ぜんざい: 粒あん(豆の形が残っている)の汁物。
- おしるこ: こしあん(なめらかな)の汁物。
関西の人にとっては、汁があっても粒あんなら「ぜんざい」なのです。 (※ちなみに、関東で言う「汁なしぜんざい」のことは、関西では「亀山(かめやま)」などと呼びます)。
旅行者が陥る「逆転現象」
この違いのせいで、悲劇が起こります。
関東の人が大阪の店に入り、 「汁がない、あんこたっぷりのお餅が食べたいな。よし、『ぜんざい』を頼もう」 と注文すると…… 「お待たせしました〜(たっぷんたっぷんの汁物)」 が出てきて、「ええっ!?」と驚くことになります。
逆に関西の人が東京で「ぜんざい」を頼むと、 「お待たせしました〜(汁なしのあんこ餅)」 が出てきて、「汁がないやん!」とツッコむことになるのです。
まとめ:場所によって使い分けよう
- 関東は「汁の有無」で決まる(汁あり=しるこ、汁なし=ぜんざい)
- 関西は「豆の有無」で決まる(粒あん=ぜんざい、こしあん=しるこ)
- 境界線はおおよそ名古屋あたり
今度、お店でメニューを見る時は、「ここはどっちのルールかな?」と写真を確認するか、店員さんに聞いてみるのが確実です。 こたつで温かいあんこを食べる時、この話で盛り上がってみてくださいね。


コメント